クライミングシューズ選びについて
クライミングはクライミングシューズとチョークの2つの道具があれば始めることのできる気軽なスポーツです。これは逆にとらえると、クライミングはクライミングシューズ選びがとても重要になってくるということでもあります。つまり、クライミングシューズ選びを制する者はクライミングを制するといっても過言ではありません!
以下のシューズ選びのポイントを参考にして、ぜひ、あなたにとって最高のクライミングシューズを探し出してください。
ポイント1. サイズ感:サイズは「痛くない程度のきつさ」がベスト!
サイズ感は基本的につま先が曲がるくらいの小さめのサイズで履くことが通常で、クライミングシューズはつま先が曲がることで指先に力が入りやすくなるようになっています。ただ、小さすぎると激しい痛みを伴い、大きすぎると足とシューズの間に隙間ができてしまい、うまく力が入らずパフォーマンスに影響を与えることがあります。購入する場合は必ず試着を行い、自分に合ったサイズを選ぶことがおすすめです。
初めてのクライミングシューズを購入するときはあまり無理に小さめのサイズを選ぶのではなく、過度に痛みを感じない楽しく登れる大き目のサイズを選んだ方がより楽しくクライミングを始めることができますよ!(初心者向けのサイズ目安としてシューズを履いてつま先立ちしたまま足踏みが無理なくできる程度をおすすめします)
ポイント2.フィット感:自分の足型に合うシューズを選びましょう!
親指が長かったり、人差し指が長かったり足の形は個人差があります。自分の足型に合うシューズを選んだ方が痛みが少なく、足にフィットしてパフォーマンスも向上します。
足型はエジプト型、ギリシャ型、スクエア型の3種類あります。
【エジプト型】
親指が一番長く、小指に向かって短くなる足型です。ほとんどのシューズはエジプト型をベースに作られています。
【ギリシャ型】
人差し指が一番長く、次に親指や中指が長く、小指に向かって短くなっていく足型です。日本人に最も多い足型で、ターンイン(先端が親指側にカーブ)したシューズを履くと痛みが出やすいです。
【スクエア型】
ほぼ指の長さが同じで揃った足型です。先の細くなっているシューズは痛みが出やすいので、幅が広いシューズを選んだ方がおすすめです。
ポイント3. 着脱タイプの種類:スリッパタイプ、シューレースタイプ、ベルクロタイプ、ベルクロ付きスリッパタイプの4種類のタイプがあります。
【スリッパタイプ】
※写真のシューズ「SCARPA/インスティンクトS」
良い点〇:パーツが少ないので軽量で、足になじみやすくなっています。また、足の甲にパーツが無いので、トゥフックなどがやりやすくなっています。履くときに少しコツがいりますが、慣れると脱ぎ履きしやすいので、頻繁にクライミングシューズを脱いだり履いたりするジムで登る時などに便利です。
悪い点×:使用していくうちに伸びてくるので、サイズ選びが難しいです。シューレースタイプ、ベルクロタイプは伸びてしまっても、シューレース、ベルクロを調節することにより若干のサイズ調整は可能ですが、スリッパタイプだとサイズ調整が利きません。また、ヒールフックをする時に脱げやすいのも弱点です。
【シューレースタイプ】
良い点〇:シューレース(靴ひも)をきつく締めたりゆるく締めたり自分好みに調節ができるため足にフィットしやすく、よしシビアなフットワークを要求されるような場面で活躍します。
悪い点×:脱ぎ履きのたびにシューレースの調節が必要になってくるので、脱ぎ履きが面倒です。また、使用中にシューレースがほどけてしまう可能性があります。また、トゥフックをするときにシューレースが邪魔になることがあります。
【ベルクロタイプ】
写真のシューズ「Evolv/クロノス」
良い点〇:シューレースのサイズ調節のしやすさ、スリッパタイプの着脱のしやすさを持ち合わせています。シューレースとスリッパの中間的なタイプで、初心者の方におすすめです。また、足の甲全体までラバーで覆われているので、トゥーやサイドなど足全体を使ったクライミングがしやすいです。
悪い点×:ベルクロで締めることができるのは2、3か所だけなので、足の形によっては締めたいところまで締めることができないこともあります。また、トゥフックの際にベルクロが邪魔になりかけづらい場合があります。
【ベルクロ付きスリッパタイプ」
写真のシューズ「SCARPA/インスティンクトVSR」
良い点〇:スリッパタイプ、ベルクロタイプの利点をかけ合わせたタイプで、最近の主力のハイエンドモデルはこのタイプが殆どです。足全体にフィットするスリッパタイプの形状に、ヒールフックの時に脱げにくくするために足の甲部分をベルクロでしっかり固定できます。
悪い点×:スリッパタイプ、ベルクロタイプに比べて足全体のフィット感は良いものの、シューレースタイプには劣ります。ソールの形状がダウントゥになっているものが多く、トゥフックに弱い場面があります。
ポイント4. ソールの形状:主にフラットソール、ダウントゥの2種類に分けられます。
【フラットソール】靴底が平らなクライミングシューズ
※写真のシューズ「Black Diamond/モーメンタムメンズ」
オーソドックスであらゆる面で使いやすく、靴底が平らで癖のないため初心者の方におすすめの形です。
傾斜のゆるい壁(スラブ)などではソールの接地面積が広くなるので、滑りにくいです。
【ダウントゥ】つま先部分が下に曲がっているアーチ形のクライミングシューズ
写真のシューズ「SCARPA/ドラゴLV」
つま先が下に曲がっているので、傾斜のある壁でホールドを掻き込みやすく、足が残りやすいです。また、足の甲側のラバーが大きいものが多く、トゥフックがしやすく、形状的にヒールフックもしやすいです。しかし、垂壁やスラブでは接地面積が狭くなるので、滑りやすくなってしまいます。また、つま先部分が曲がっているためフラットと比較すると足入れ感が悪く、足型によっては痛いと感じてしまう人もいます。
ポイント5.つま先の形状:ストレート、ターンインの2種類があります。
【ストレート】つま先部分がまっすぐなクライミングシューズ
写真のシューズ「SCARPA/ヴェローチェ」
さまざまな登り方に対応でき、普段履く靴に近い形なので履きやすく初心者の方におすすめの形です。
【ターンイン】つま先部分が親指側に曲がっているクライミングシューズ
写真のシューズ「SCARPA/ドラゴ」
つま先に集中する力をさらに親指側に集めやすくなっているので、小さなホールドに乗りやすいです。また、親指側で乗るインサイドエッジがしやすいです。しかし、普段履く靴と異なる形状なので、履き心地は悪く、小指側で乗るアウトサイドエッジはしづらくなっています。
ポイント6. ソールの硬さ:使用されているゴムの硬さで異なり、硬めのソールと柔らかめのソールの2種類があります。
【硬めのソール】
硬めのソールは変形しづらく体重を支えやすいので、小さなホールドに立ちやすいです。スラブ、垂壁を登る場合は硬いソールの方が踏み込みやすくなってきます。
しかし、体重が軽い方が履く場合や強傾斜を登る時にはうまく足を踏み込むことができず、力を伝えることがしづらいので足が滑ることもあります。また、きちんと踏めているかどうかを知る足裏感覚も分かりにくいです。
【柔らかめのソール】
柔らかめのソールはゴムが変形しやすいので、ハリボテなどの面で踏むホールドは踏みやすいです。強傾斜を登る場合には柔らかめのソールの方が足を残しやすいです。また、足裏感覚を得やすく、体重の乗り具合やホールドの位置を把握しやすいです。
しかし、体重が重い方が履いた場合やしっかり踏み込む必要があるスラブ、垂壁を登る時にはソールが変形しすぎてしまい、うまくホールドに乗れず足が外れてしまうこともあります。
以上の通り、クライミングシューズ選びには6個のポイントがあります。
①サイズ感、②フィット感、③着脱の仕方、④つま先と⑤ソールの形状、⑥ソールの硬さなど、色々選ぶポイントがありすぎて自分に合うシューズを選ぶのは大変で難しいですよね。
悩んだ時には、ジムスタッフの方などに相談をしてみてみるのもおすすめです。自分に合ったクライミングシューズを見つけて、ぜひ、クライミングを楽しんでください!